内側側副靭帯損傷

症状
受傷時「ボキッ」と言う断裂音と共に膝の痛みや腫れを訴え、運動制限や歩行障害を認めます。時間の経過した症例では膝が「ガクガク、グラグラ」すると言う不安定感を訴えます。
1度(靭帯の伸張又は一部線維のみ断裂)
・関節内側に軽度の圧痛
・膝の可動域は正常である
・関節の不安定はない

2度(靭帯線維の断裂が多数見られる)
・かなりの関節硬直がある(膝の伸展ができない)
・不安定さがある
・関節内側に強い疼痛と圧痛

3度(靭帯の完全断裂)
・受傷後の疼痛はあまり強くない(断裂している為)
・膝の内側の安定性はない
・膝くずれが時々おこる

原因
内側側副靭帯損傷は膝に主に外反動揺性(外側に反る不安定性)を防止している靭帯で、外反や外旋(外側に反ったり回転する力)など強い捻り動作を強制されると切れてしまいます。また、急な方向転換するスポーツや関節の弛緩性がない、大腿部の筋力不足といった原因があげられます。膝に外反ストレスを加えると不安定性が確認され、関節穿刺にて血腫(関節内に血が溜まる状態)を認めます。不安定性の程度によって、1度(疼痛のみで不安定性はない)、2度(膝を伸ばした状態、伸展位で不安定性はないが、30度ほど屈曲すると認められる)、3度(伸展位で不安定性を認める)に分類されています。単独の損傷のことが多いのですが、3度の不安定性がある場合は前十字靭帯損傷や半月板損傷を合併している可能性があります。

治療法…
治療は保存的治療(手術しない方法)と手術的治療とに分かれます。保存的治療は軽度や中程度損傷例、他の靭帯損傷(十字靭帯損傷、半月板損傷など)の合併を認めない症例が対象となり、ギプス固定、装具療法、筋力強化訓練で経過観察します。新鮮例で単独の損傷であれば、ギプスや内側側副靭帯用サポーターの装着でほとんどの場合治ります。しかし、新鮮例で十字靭帯損傷を合併している場合や陳旧例では、靭帯縫合術や靭帯再建術の手術が必要なこともあります。手術の方法は年齢や性別、趣味、活動性を考慮した上で靭帯修復術や各種の靭帯再建術などが検討されます。