ばね指、ドゥケルバン氏病

ばね指とドゥルバン氏病、この2つは”狭窄性”と同じですが発症する部位によって名前と症状が異なります。指を伸ばす腱の代表的な狭窄性腱鞘炎にはドゥケルバン腱鞘炎があります。指を曲げる腱の代表的な狭窄性腱鞘炎にはバネ指があります。
腱鞘とは腱を包んでいる鞘のことで、中に滑液と言う油の様なものがあり、腱を滑り易くしています。腱はそれらポイントで、この腱鞘を通り抜け、抵抗なく効率よく滑走し、指の屈伸が行なわれます。
狭窄性腱鞘炎とは、何らかの原因で腱鞘が炎症を起こし、腱が腱鞘内をスムーズに通過出来なくなった状態を言います。

原因
バネ指
バネ指は指の屈筋腱に起こる腱鞘炎で、靭帯性腱鞘が屈筋腱を圧迫したために生じます。発生部位は母指が最も多く、3指、4指の順となります。名称の由来は、引っかかった指を無理に伸ばそうとすると、まるでバネの現象のように、伸びるのでバネ指と称され、別名「弾発指」、「snapping finger」とも呼ばれています。
中高年者に多く、慢性的な使い過ぎが原因と思われますが、体質的な要因も大きく関与していると考えられています。症状は指の付け根の痛みと運動障害です。患者さんは「指の曲げ伸ばしが困難だ」、「朝起きると指が曲がったままで伸びない」、「無理に指を伸ばそうとすると引っかかりを感じる」などと訴えられます。

ドゥケルバン腱鞘炎
ドゥケルバン腱鞘炎は手首における代表的な伸筋腱炎の一つです。使い過ぎが原因で、指を酷使する職業(パソコン)によく認められます。中には、軽微な外傷や妊娠、出産をきっかけとして発生する症例もあります。また、時にガングリオンなどの腫瘍によって伸筋腱が圧迫されて起こる場合もあります。症状は手首の痛みと腫れです。痛みは物を摘んだり、握ったりすると増強します。

治療法…痛みの原因となった作業や運動を控え、短期間の非ステロイド系抗炎症剤、リハビリテーションとして温熱療法や手首のストレッチを指導します。難治例ではステロイド腱鞘内注射を検討します。しかし、これらの保存的治療を行っても改善の得られない症例は腱鞘切開術を勧めます。